変身活動家 江上喜郎

変身活動家・江上喜朗が不定期に更新しているブログ。事業承継に関する考察や経営ノウハウ、実際の事例などについてまとめています。書籍では書けなかった部分まで明かしていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

第12回2018年9月12日

教習所経営は、高校数学で答えが出る。 VOl.5 〜報酬の方程式〜

「報酬の高さ」

これが採用や定着に寄与していることは間違いありません。採用力、定着率とは確実に正比例します。

問題なのは、「報酬」の定義です。報酬というと、皆さんお金のことを思い浮かべるのではないでしょうか?給料はいくらか。ボーナスはいくらか。手当はいくらか。もちろん、それらも大切な報酬です。ただ、報酬として定義できるのは、お金だけではないのです。仕事内容や条件に不満があっても、総合的に考えて辞めない人はたくさんいます。わかりやすい例でいうと、ものすごく冷たくて雑談の一つもない会社と、周りの人がとても温かい会社。同じ給料だったら、確実に後者を選ぶでしょう。それは、後者において「報酬」を認識しているからです。周りの人にあたたかい対応をされると、財布には1円も入りませんが、確実に脳内にはプラスな電気信号が流れ続けます。多くの人はそれを立派な「報酬」と認識します。

そういった「報酬」は、大きくは2つに分けることができます。

1 実用的な報酬

いわゆる「労働条件」です。自分の投入した労働に対して、対価(金銭条件)がよいかどうか。非常にシンプルな報酬です。時給とも置き換えて考えることができます。多くの人が読んでいる報酬とはこの報酬を指すでしょう。全ての働く人において重要な指標です。時給は低い方がいいという人は存在しないでしょう。

2  情緒的な報酬

あたたかい人がいる、寛容でいてくれる、自己実現の機会をくれる、居心地が良い、ありがとうが多い、仕事が好き、仕事に誇りをもてる・・・など、金銭以外で、「脳が喜ぶ」ことです。フェニールエチルアミン、ドーパミン、アドレナリンなど、報酬の物質はそれぞれジャンルによって違いますが、脳にプラスの電気信号が流れる→脳が喜ぶ→人間はそれに依存するようになる→その電気信号を得ようとする、という点においては同じです。

1は限界があります。努力によって売上を伸ばし、あるいは人件費以外のコストを下げることで上げることはできるでしょうが、限界があります。同じ「教習所」というフィールドで勝負している以上、給料が倍の会社は、給料が半分の会社に、コスト競争力で必ず負けます。

そして、2を意識している企業は少ないのが実態です。多くの教習所の経営者は、報酬とは1のことを指すと考えています。「この業界は給料が少ないからうちには人が来ない」そうおっしゃる経営者の方はとても多い。一方、成熟し、経済成長の見込めない日本においては、2の報酬を欲しがる若い層はとても多くいるのです。しっかりと2の報酬を設計し、それをアピールすることで、間違いなく人は採用でき、定着できます。

それを「洗脳」や「詐欺」のような悪いことのように思う方もいるのでしょうが、ではディズニーランドは?昨日見た映画は?さっき読んだ漫画は?おいしい料理は?・・・生活の生産性において何もプラスはありません。ただ顧客の脳にプラスの電気信号を与えて、それで人のお金を奪っているだけです。生産性やエネルギー効率だけみたら、食パンだけ食べてればいいのですが。

そして、その前提において、教習所業界では、さらにシンプルな構造があります。

教習所の指導員という仕事は万国共通です。ということは指導員として活躍する人には、共通の特徴があります。

それは、「目の前の人にありがとう、好き、先生のおかげで・・と言われたい」という欲求が強いことです。決して、車が好き、とか、道交法をよく知っている、という人ではありません。コアな能力は、道交法の知識量ではなく、人間関係構築能力、コーチング能力です。まさにビリギャルの坪田先生そのものです。(次回のブログにて、データで証明します。)

そういった人たちの欲求を満たす環境づくりを徹底すれば、自ずと人は採用でき、定着し、そして活躍します。

・・では、どのように環境を作っていったらいいのでしょうか??

次回、教習所経営は高校数学で答えが出る。 Vol.6  〜指導員の欲しがる報酬を設計する〜