変身活動家 江上喜郎

変身活動家・江上喜朗が不定期に更新しているブログ。事業承継に関する考察や経営ノウハウ、実際の事例などについてまとめています。書籍では書けなかった部分まで明かしていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

第4回2017年9月24日

中小企業は、つぶれるべきである

日本には、創業100年以上の会社が26000社以上あると言われています。そして、長く続く会社があることが日本の素晴らしさだ。と言われています。

 

−会社は、長く続くことに意味がある。

−会社は、残すことにこそ意義がある。

−だから、日本は素晴らしい。

 

その主張の意図はわかります。会社が潰れるということは、経営者や社員に大きな悲劇を与え、望まない変化を強いられ、そしてそこに関わる多くの人にダメージを与えます。社会が安定するためには大事な考えだったのかもしれません。

ただ、生きていくことが目的としているような、存在することがほとんどの意味となるような論調には違和感を感じます。たとえば自分の隣の自動車学校にとても優秀な経営者がいて、顧客満足度2倍にできるとしたら・・・社員の給与を1.5倍にできるとしたら・・・うちの会社がある意味はあるのか。お客様はその自動車学校に行った方がいいのではないか。社員もそこに転職した方がいいのではないか。その状況を自覚しているのに生き残ろうとすることに意味はあるのか。

 

少なくとも、今までは「雇用を守る」という意味が大きくあったのでしょう。年功序列、転職など以ての外、なかなか受入先を見つけるのも大変・・・そんな状況があったわけです。建前でなく、「社員を守る為」に会社は存続する意味があった。

でも、状況は変化してきています。

有効求人倍率は年々増加の一途を辿り、どこの会社も社員が不足しています。そして、社員が不足することによって利益やキャパシティを圧迫し、それが既存社員の労働条件に跳ね返ってくる・・・そんな悪循環が確実にあります。そして日本はGDP、従業員数ともに70%は地方のサービス業(飲食店、ホテル、小売店・・・などなど)が占めており、そういった企業は人不足が売上と利益に直結します。

参考;なぜローカル経済から日本は甦るのか(PHP出版、冨山和彦著)

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そして、人不足を理由に企業は潰れていっています。

 

では、企業が潰れるとそこで働く人たちはどうなるのか。

 

・・・そう。

 

人不足なのは自分たちだけではありません。隣の同業も、その隣の同業も、同業でないがにているあの業種も・・どこも人不足です。

 

ということは、つまり。

 

潰れた企業の人たちの転職先は、たくさんあるのです。普通だったらいけないあの大企業。あの優良企業。もちろん選びたい放題、というわけではないのでしょうが、選択肢は豊富にあります。転職前や後は少し大変かもしれませんが、移った後の企業が良い企業であれば忘れてしまうでしょう。そして受け入れた企業は人不足が解消し、利益率が上がり、労働条件をよくすることができます。

 

つまり、中小企業が潰れることが、社員を、多くの人を幸福にしていくのです。もちろん、経営者の人生には大きなデメリットがあります。銀行や取引先にも大きな影響があるでしょう。そこのセーフティネットは必要です。でも、そういったサービス業で働く、人口の70%の人の生活はよくなるはずです。

「会社を潰さないことが世の中の人のため」というわかりやすい時代は終わりました。

もちろん、デメリットが大きい以上、企業や経営者としては会社を残したいでしょう。そして残すために会社を良くしていく(居心地の良い会社にする、とか労働生産性が高い会社にする、とか)ことはそこで働く社員を、転職など必要とせず直接幸せにしていきます。その努力は必要でしょう。

 

 

国は、中小企業を潰すこと。(助けないこと。)

企業は、潰れないために、人が定着する良い会社を作ること。

 

 

相反するこのテーマを追求すれば日本人はもっと幸せになります。